7点差
赤司にスリーポイントを決められてしまい、点差は7点に拡がった。
何が何でも洛山の攻撃を止めて、3点差に詰めたかった誠凛。
勝つためには、スリーポイントを決めたとしても最低3ゴールが必要となる。
残り40秒 誠凛98-洛山105
「ディフェンス!全員集中しろ!!止めれば終わりだ!!」
赤司が洛山選手に吠えた。
疲れの出る最終盤で気合の入ったディフェンスを見せる洛山。
一刻も早く点を取りたい誠凛。
火神にボールを回し得点につなげようとするが、その火神には葉山、黛がダブルチームでディフェンスにあたる。
これでは火神にボールを回すことは出来ない。
火神の体力はギリギリの状態だった。
気力で持ち直したが、ゾーンに入る時間を最小限に抑えることで繋ぎ止めている。
ディフェンスをはがすためにゾーンに入ってしまうと、搾り出したわずかな体力もなくなってしまう。
『ダメだ・・・火神に回せない・・・・!!』
ボールを持った伊月は攻めあぐねる。
時間は刻々と過ぎていく。残り時間33秒。
「伊月!!」
木吉がボールを呼び込む。
ゴール下で根武谷との1on1。
しかし膝の痛みもあり、シュートまで持っていくことが出来ない。
『当たりが貧弱だぜ!そんなんで・・・ゴール下の駆け引きにもちこめるかよ!!』
根武谷のディフェンスは木吉のゴール下への侵入を許さなかった。
「くっ・・・そっ」
しかたなくアウトサイドの日向にボールを戻す木吉。
しかし日向には実渕がピッタリとマークにつく。
『3本と言ってもそれはスリーポイントを入れての話・・・・ならアナタは最警戒に決まってんでしょ!!』
実渕のディフェンスは、日向にシュート態勢に入ることも許さない。
残り時間29秒。
黒子が動く。
「キャプテン!!」
わずかに視線を誘導しながら、黒子が逆サイドに向かいながらボールを呼び込む。
「マークをゆるめるな葉山!黛!」
黒子の視線の動き、日向、火神のアイコンタクトを読み取った赤司が叫んだ。
ボールは黒子へ、そして一瞬にして火神にわたった。
ダイレクトドライブゾーンを使った、逆サイドへのロングパス。
一瞬でゾーン状態に入った火神はすぐにスリーポイントを放つ。
ボールはゴールへと吸い込まれた。
沸き立つ会場。
誠凛101-洛山105 残り時間27秒。
すべてを懸けろ!!
「ディフェンス!!すべてを懸けろ!!」
「おお!!」
日向の声に、誠凛選手も呼応する。
「ディーフェンス!ディーフェンス!ディーフェンス!」
誠凛のベンチも必死の応援を見せる。
これ以上ないディフェンス。
全身全霊の気迫は先程見せた洛山以上だった。
しかし、洛山は焦らない。
ゆっくりとボールを回し、時間を使っていく。
時間は刻々と過ぎていく。
『なんや、あれは。チーム全員が熱くなっとる時、なるべく時に、一人逆に冷めとる奴がおる。伊月------!!』
観客席で見ていた今吉が異変に気付いた。
『落ち着け。熱くなるな。こんな時こそクレバー(冷静)に徹しろ。さっきの攻めでオレのマークが特に甘くなったことで改めて自覚した。オレが一番凡庸な選手であること。だが、たとえ赤司がムリでも他の4人ならスキをつける可能性はあるはずだ。イーグルアイと脳ミソフル回転させて先を読む。勝つために冷やせ。性能で劣るポイントガードは頭使ってナンボだろーが!!』
伊月は冷静に徹し、コート全体に視野を広げた。
残り時間15秒。
洛山は慌てて攻める必要はない。
このままボールを持ち続けても24秒ルールに引っかかることもない。
誰もが、このまま終わりだと考えていた。
しかし、伊月の考えは違った。
『シュートは必ず撃ってくる。理屈以上に帝王のプライドがそうさせるはずだ。しかも洛山はさっきのプレイで見抜いてるはず・・。木吉の限界を・・!!どこかで必ず----』
残り時間10秒。
ボールが葉山から実渕、そして根武谷にパスが飛んだ瞬間だった。
伊月のイーグルスピアがボールを奪った!
「走れ!!!」
伊月が叫ぶ。
誠凛のカウンター。
残り時間8秒。