ストーリーダイジェスト

黒子のバスケストーリーダイジェスト 第242Q 「いいもの見せてア・ゲ・ル♡」

複雑だぜ

日向は中学時代を思い出していた。

『中学時代好きだったプレーヤーは、NBA選手のレイ・アレン。そして、実渕玲央。』

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実渕のシュートフォームは滑らかでキレがあってカッコいい、と手本にしていたのだった。

しかし一方、日向はオネェキャラが嫌いだった。
人格の否定ではなく、好き嫌いで言えば、女々しい女も、女々しい男も嫌いだった。

そして、いま目の前に実渕玲央がいる。
日向の憧れたプレーヤーは、日向の嫌いなオネェだった。

『複雑だぜ・・好きなもんと嫌いなもん、実渕が両方兼ね備えたやつだったとわ・・・』

実渕を目の前にして日向は複雑な思いに駆られていた。
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お手本のプレーヤー

日向と実渕の1on1。
日向は実渕のシュートを警戒し、少しディフェンスに距離を置いていた。
下手に近づくと、ファウルを取られながらシュートを決められてしまい、4点プレイとなってしまうからだった。

実渕には、ディフェンスに接触しながらでも決められる体幹の強さがあった。
日向はそれを警戒し、あえてディフェンスを離していた。

しかし、実渕が口を開く。

「だめよぉ。それじゃ」

次の瞬間、実渕は後ろに飛びながら3ポイントシュートを放つ。

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『フェイダウェイで3Pだと!?』

フェイダウェイシュートは後ろに飛びながら打つため、力が予想以上に逃げる。
ましてや、距離のあるスリーポイントシュートでは、届かせるだけでも至難の業なのだ。

しかし実渕のシュートはゴールへと吸い込まれた。

『とんでも無く効率のいいフォームだ。下半身の力がもれなくボールに伝わっている』

日向は実渕のシュートを見て、そのフォームの良さに目を見張るのだった。

倒すべきプレーヤー

日向は敵でありながら、実渕の実力を改めて認めた。
しかしいまはそんなことを考えている場合ではなかった。

「よこせ伊月!!」

日向は伊月にパスを要求した。

「日向!!やり返してやれ!!」

『もう今はお手本のプレーヤーじゃねぇ。倒さなきゃなんねぇプレーヤーだ!!」

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パスを受けると、日向はすかさず3Pを放つ。

以前よりも、重心を残す位置が遠くなり、【バリアジャンパー(不可侵のシュート)】はよりスピードを増していた。
実渕もこれには反応することが出来ない。

日向のシュートはゴールへと吸い込まれた。

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シューター対決

根武谷が実渕に話しかける。

「ビデオで見た時もちょっと思ったけどよ。あいつのフォームお前に似てんな?」

「やっぱりそう思う?」

実渕も日向のフォームが自身に似ていることには気づいていた。
そして実渕は思った。

『けどまぁ似てるだけだけどね。とっくに自分に合う形にカスタムしてる。別物だわ』

「悪く無いわね・・・・」

実渕はニヤリと笑って、赤司に言った。

「ボール回してね。征ちゃん。」

「もちろんそのつもりだよ玲央。存分にやるといい」

赤司は冷静に応じた。

試合は3Pの応酬となった。
会場は、実渕と日向、どちらのシューターがこの勝負を制するかに注目していた。
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しかし木吉は日向が分が悪いと感じていた。
実渕は、日向のタイミングに徐々に合わせてきているが、こちらは向かってくるシュートと離れていくシュートの2種類の3Pにいまだ対応出来ていなかったのだ。

そして・・・!

ついに日向のシュートが実渕にブロックされた!
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洛山高校はすかさず反撃に出る。
そして再び実渕にボールが渡った。

日向は実渕を止めようと、ディフェンスで食らいつく。

いいもの見せてア・ゲ・ル♡

実渕が日向に言った。

「見直したわアナタ・・・・。思ってたよりずっといいシューターね」

そして口元に笑みを浮かべながら続けた。

「だからお礼にいいもの見せてア・ゲ・ル♡」

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観客席に座ってその様子を見ていた無冠の五将、花宮がつぶやく。

「マジかよ・・あれ打つのか!?」

花宮によれば、実渕がよく使うシュートは2つ。
相手をかわしつつ打つシュート【天】。
相手にあたりながら決めるシュート【地】

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そして、最後の一つ。

普通のシュート体制に入った実渕に対し、日向はブロックの態勢に入る。

『ただのシュート!?そんなもん撃たせるわけ・・・』

しかし日向は何かに押さえつけられたように、そこから動けなくなった。

『跳べない・・・!?なん・・・で・・・』

実渕はやすやすと3Pシュートを決めるのだった。

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夜叉

そして、最後の一つ。
相手に何もさせずに決めるシュート【虚空】

誠凛の誰もが驚愕した。日向が勝手に動きを止めたように見えたからだった。
ついに実渕の隠れた実力が明らかになった。

3種のシュートを持つ将、【夜叉】実渕玲央。

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