ストーリーダイジェスト

黒子のバスケストーリーダイジェスト 第268Q 「どうすりゃいいんだ」

完璧なリズム

洛山の全員ゾーンが発動し、驚愕する誠凛。
これが赤司の真の能力なのか。

全員がゾーンに突入したのはなぜか。
物語は数プレー前に遡る。

タイムアウト明けの赤司の豹変に、誠凛の監督相田リコは違和感を感じていた。

『洛山は調子を取り戻したみたいだけど、ウチも点はとれてる・・けど・・・胸騒ぎがする。この違和感は何・・・!?』

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コートで戦う誠凛のレギュラー陣も、洛山高校の変化に気づいていた。

『くっ・・・なっ・・どうなってやがる・・・!?コイツ・・・さっきの3P決めてから急に動きが良くなってきてねーか!?』

実渕に対峙する日向は、実渕の動きの変化に驚いていた。

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そして葉山に対する伊月。
葉山の動きについていけず、裏を抜かれてしまう。

赤司のパスをもっとも得意な形で受けると、スピードを落とすことなくゴールへ向かう。
ゴール下には木吉が待ち構えている。

『ドリブルへの移行に全くよどみがない!このスピードでこの間合い・・マズイ。完全に葉山の形だ!!』

カバーに入る木吉だったが、葉山のスピードについていけず、あっさりとかわされてシュートを決められてしまう。

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会場でその様子を見ていた、他のチームのポイントガード全員が驚愕していた。
同じポジションからすれば、その様子は化物にしか見えないほどの事をしており、一見赤司がアシストして決めているようではあるが、赤司のパスを受けた選手の動きがどんどん良くなっていたからだった。

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バスケットの試合中、数えきれないほど飛び交うパス。
だが、本当に厳密な意味での完璧なパスとなると、偶然と言うほど稀有である。
ナイスパス、ナイスアシストと呼ばれるパスも、そのほとんどはスピード、コース、タイミングなど、どこかにズレはあり、受ける選手がそれを補正することで完成している。

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実渕が悪いパスによってリズムを崩した。
つまり逆もある。

良いパスは、良いリズムを作る。
さらに、完璧なパスは完璧なリズムを作る。

完璧なリズムとはすなわち、その選手が一番気持ちよくプレイできるリズム。
完璧なパスはズレを補正する必要がない。
次の動作に100%神経を注ぐことが出来る。

赤司はエンペラーアイで敵味方全てを把握し、コート全体を予知。
刹那のズレも許されない、およそ狙って出すのは不可能とも言える究極のパスを自在にあやつり、味方の潜在能力を限界まで引き出す。

洛山レギュラーは、赤司によって潜在能力を限界まで引き出された状態になったのだった。

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全員ゾーン

「これが・・・赤司の本当の力なのか・・・・・!!」

会場で見ていた緑間は、全員がゾーンに入った洛山を見て驚きを見せる。

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誠凛のベンチは驚きと絶望に包まれていた。
ゾーンはキセキの世代や火神クラスの限られた天才しか入れないはずだった。
しかし、今目の前で洛山全員がゾーンに入っているように見える。

リコは洛山の様子を見て、ゾーンとは少し違う状態であることは見抜いていた。

「完全なゾーンとは少し違うわ・・・人間が本来80%程度しか出せない実力を100%引き出すのがゾーン・・。けど赤司君以外は90%前後・・・いわばゾーンの一歩手前だわ」

全員が完璧なゾーンとは違っても、残り時間3分で全員がパワーアップした状態の洛山。
誠凛にとっては絶望的な事実である。

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カウンター

日向がボールを持つと、実渕が凄まじいプレッシャーをかけてくる。

『この圧力・・・だめだ・・通常のシュートはおろかバリアジャンパーのステップにすら入れない・・・!!』

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実渕のディフェンス圧力に耐えられず、たまらず伊月にパスを出す日向。
しかし、そのボールを葉山がスティールする。

洛山のカウンター。
凄まじい速さで攻撃を仕掛ける葉山の前に、火神が追いつきディフェンスに入る。

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対する葉山。

『チッ。ならこれでどうだ!!ライトニングドリブルレベル5!!』

激しい音を立て、ドリブルで揺さぶりをかける葉山。

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しかし火神は抜かせない。
カウンターを止めることには成功したが、洛山の攻撃は続いている。

葉山は仕方なく、赤司にパスを出す。
すかさず赤司は黛へパスを送る。

黛は赤司のパスにメッセージが込められていることを感じていた。

『・・・はぁ!?いいのかよ赤司。あそこで?危なくねーか。とられても知んねーぞ。・・・まぁいいけどよ』

黛は考えながらも、赤司の意志を受け取る。

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「今のお前がそういうなら大丈夫なんだろ。ならオレは思い切りいくだけだ」

そうつぶやくと、ゴール前に待ち構える根武谷の頭上にパスを出した。
それはアリウープにつながるパスだった。

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限界

「まだだぁ!!」

火神が根武谷のアリウープを阻止しようと、ブロックに飛ぶ。

しかし、赤司にはわかっていた。

「・・・いいや、もうそこ(宙)はお前の場所ではないよ。火神」

赤司の言葉通り、火神のブロックは根武谷には届かなかった。

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火神の頭上から根武谷がダンクを叩きつける。

「オォラ!!!」

誠凛96-洛山103 残り2分30秒

点差は7点差に広がった。

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「火神君!!」

黒子が叫んだその先には、ついに体力の限界を迎えた、火神の姿があった。

会場の誰もが洛山の勝ちで決まりだろうと考え始めていた。
黒子と火神のコンビが赤司を止めていたのに、火神の体力が尽きてしまっては、対応する術がないからだ。

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会場に、黒子の様子を見つめる一人の男がいた。

「・・・・・・黒子」

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