エースの衝突
開始から3分30秒経過し、スコアは誠凛11-洛山5。
実渕玲央のスリーポイントにより、その差は6点まで縮まった。
ここでついに赤司が火神のマークに付く。
両者の対峙に会場はざわつく。
赤司は火神を睨みつけ言った。
「少し調子に乗りすぎているようだね。火神大我」
ポイントガードの伊月はエース同士の衝突に、ここの結果がこの先の流れを決めることを案じていた。
火神で行くか、2年だけで攻めるか。
悩む伊月に、火神は闘志をあらわにし、ボールを要求する。
火神大我VS赤司征十郎
ゾーンに入った火神と赤司の直接対決。
ボールを持った火神はすぐさま赤司を抜きにかかる。
しかし赤司はエンペラーアイで、火神のボールを奪おうとする!
トリプルスレッド(ボールが無防備になる一瞬)を狙って、赤司がボールを奪おうとするが、一瞬速く火神が赤司を抜いた!
赤司が抜かれたことに驚きを見せる会場、青峰、紫原。
『いける・・・一気にとどめをさしてやる!!』
火神は、根武谷と黛の上からメテオジャムを叩き込むべく飛んだ。
しかし、赤司は冷めた目で火神を見ていた。次の瞬間、違和感に気付く火神。そしてメテオジャムはゴールに弾かれるのだった。
火神を含め、誠凛のメンバー全員が信じられないという表情を浮かべる。
エンペラーアイ
赤司は火神に静かに言う。
「エンペラーアイを超えた?みくびってもらっては困るな。抜かせたんだ。ギリギリかわせる速さにゆるめて」
赤司は、メテオジャムが見た目とは裏腹に繊細な技であることを指摘する。全てのタイミングが揃わなくては、メテオジャムは成功しない。そして、自分はそのタイミングをずらしただけだ、と。
火神は赤司をかわす速さを出すために、少しだけドライブが膨らんでいた。しかし、それだけがメテオジャム失敗の原因では無く、その後の、根武谷と黛のヘルプのタイミング、ゴールとの距離すら罠であった。
エンペラーアイが使えるから無敵なのではなく、赤司がエンペラーアイを持つから無敵なのだ。
赤司征十郎の実力
洛山高校の反撃が始まる。
ここで決められると2ゴール差。射程圏内に捉えられてしまう。
赤司は葉山にスクリーンをかけさせ、わざと火神との勝負に出る。
火神と赤司の1on1。
青峰は火神をみて静かに言った。
「ここで負けたらゾーンが切れる。戦意もゆらぐ。反動で絶不調もありえるぜ」
火神は過去に、エンペラーアイを使った黄瀬との1on1を経験している。
その際、火神はアンクルブレイクを耐えることが出来た。
ゾーンに入っている今なら、赤司のエンペラーアイも耐えることが出来るかも知れない。
誠凛のベンチは勝負の行く末を見守っていた。
しかし、それは叶わぬ望みだった。
帝王
赤司はため息混じりにつぶやく。
「あまり僕をいらつかせるな」
次の瞬間、火神はその場に崩れるのだった。
「贋物(フェイク)と本物(オリジナル)比べられることすら不快だ」
静かに、倒れた火神の横を抜く赤司征十郎。
横目で火神を見下しながら言い放つ。