鉄心VS剛力
木吉と根武谷のセンター対決が火花を散らしていた。
木吉は根武谷のパワーと技術の前にリバウンドをうまく取ることも出来なかった。
パワーだけではなく王者洛山のセンターである根武谷の体の使い方は、間違いなく一級品であった。
リバウンドから洛山の攻撃が始まる。
誠凛はディフェンスの時間が長くなってきていた。
洛山のボールが葉山に渡ると火神がディフェンスで対応する。
葉山は火神を抜きにかかるが、そこは火神が粘る。
『4本にもうついてきた!!さすがに火神は一筋縄じゃいかないねっ・・・!!』
センター対決
そして葉山から根武谷にボールが渡り、センター対決となった。
会場が見守る中、根武谷は木吉の頭上からダンクを決めるのであった。
「オレに小細工なんざ・・・いらねぇんだよ!!」
根武谷にパワーに対応する木吉のスタミナは著しく消耗していた。
伊月が攻めあぐねる。
『どう攻める!?やはり火神か!?』
迷う伊月に木吉がボールを呼びこむ。
「伊月くれ!!」
再度のセンター対決。
木吉はボールを受けるが、根武谷を押しこむことが出来ない。
『負けるか------!!』
木吉はダンクシュートの体制に強引に入った。
しかし、攻めきれずパスを出すのだった。
シュートは決まったが、それは木吉がシュートを打てなかったことを意味する。
アカンやろ
「いやぁ・・・・アカンやろ」
観客席の今吉がつぶやく。
「パスを出すのと出させられるのとでは意味が全然ちゃう。今のは確実に後者や。間違ってへん。それでも・・・」
誠凛と洛山の点差は15点差に開いていた。
誠凛は間違ったプレイはしていない。
しかし、点差だけが開いていくのだった。
つまり、これが力の差だった。
今吉は青峰に言った。
「ライオンとチワワに例えとったな。ワシに言わせたらライオンと小バエや。ライオンはたかる小バエをわざわざ払ったりせん。赤司が特別何もしないのもそれと一緒や」
奇跡を起こすには・・
そして、黛がパスを回し更に点差が開く。17点差・・・・!!
伊月が黛を抑えることで黛のパスは封じているかに見えた。
しかし、効果はゼロになったわけではない。
伊月が他に気を取られたスキをついて、黛はパスを決めた。
「姿を消すのがオレの仕事だが、忘れられては困るな」
誠凛はいいチームだが、今のままではいいチームでしかない。
奇跡を起こすチームにするためには、黒子が必要だった。