ラストリバウンド
最後の望みをかけて、日向はわざとフリースローを外した。
木吉がリバウンドを取ると信じて。
このリバウンドを洛山がとれば、誠凛は負けてしまう。
最後のリバウンド勝負、木吉、根武谷、火神、実渕がボールに手を伸ばす。
そしてリバウンドを取ったのは木吉だった。
魂のラストリバウンド。
残り時間2.8秒。
「止めろっ!絶対撃たせるな!!」
洛山の監督が叫ぶ。
洛山の選手は必死で考えを巡らせる。
『誰でくる!?』
全員が自分のマークに最警戒する。
そのまま自分で撃つのか、それともパスか。
これが正真正銘最後のプレイだ。
その時、動きがあった。
『く・・・そっ・・ったれ・・・・が-----・・!!わかっていたのに・・・注意していたのに・・・!!それでもっ・・!誰かがシュートと思った瞬間・・・意識から消えちまった・・・!!存在感が希薄ということはこれほど脅威となるのか。幻のシックスマン』
黛も最大の警戒をしていた。
しかしそれでも、一瞬別の考えが浮かんだだけでその瞬間を突かれた。
ボクは、影だ
木吉からパスが飛ぶ。
その先にいたのは、黛のディフェンスをかわした黒子だった。
残り1.9秒。
「いけぇ黒子ーーー!!」
誠凛のベンチから声が飛ぶ。
シュート体勢に入る黒子。
しかし目の前を塞ぐ選手がいた。赤司だ。
黒子のシュートコースを塞ぐようにブロックに跳んだ赤司。
「終わりだ!!黒子!!!」
赤司に自分のバスケを見せるためにここまでやってきた黒子。
その記憶が一瞬蘇った。
「・・・いいえ。まだです。ボクは、影だ」
一瞬笑顔を見せた黒子は、赤司のブロックを大きく超えるように高くボールを放った。
試合終了
ゴールに向かって飛ぶボール。
そしてそこには、火神が走り込んでいた。
残り時間0.4秒。
「ぅおぉああぁああああああああ!!」
空中で火神の手に渡ったボールは、火神の叫びとともにゴールに叩きつけられた。
残り時間0秒。
誠凛106-洛山105
歓喜の渦に包まれ、タイムアップ。
誠凛高校がウインターカップを制した。