ストーリーダイジェスト

黒子のバスケストーリーダイジェスト 第258Q 「もう止めねーよ」

決戦前夜

ウインターカップ決勝の前夜、日向と木吉は練習の帰り道を歩いていた。

木吉は、かつて自分が膝を壊し入院していた頃を思い出していた。

「日向・・ありがとうな」

「んがっっお前と黒子はホントそーゆーのさらっと言うな!」

日向が突然のことに驚きながら返事をした。

「木吉オマエ・・・《最後だからもう先のことは考えない・・足がぶっ壊れるまで戦う・・!》とか思ってんだろ」

「すごいな日向!当たりだ!」

「ったく・・」

日向が木吉に真面目な顔をして続ける。

「ふざけんなバカヤロー。もしかしたら高校で一緒にプレイ出来るのは明日で最後になるかもしれねー。けどそこで全部終わっちまうわけじゃねーんだぞ。とりかえしがつかないような無茶は絶対すんな。勝って笑ってそんでこの先もバスケやろーぜ」

「・・・・ああ。そうだな。」

木吉は笑顔で返した。

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日向順平

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第4クォーター開始直後、誠凛は日向のスリーポイントが決まり17点差に迫る。
4ファウルの日向だが、恐れること無くこの試合一番のキレを見せた。

「よおしディフェンス!!一本止めんぞ!!」

日向の声が、誠凛の選手に活気を与える。

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日向が入るとチームが引き締まるのが周りからもわかる。
気合の入ったディフェンスは、洛山高校に戸惑いを与える。

しかし、日向自身が4ファウルというリスクを抱えた状態で最後の10分戦うには、生半可な集中力ではもたない。

洛山の攻撃。
実渕と日向の1on1。

日向は実渕に対してディフェンスに入るが、その眼は実渕自身の動きを追いかけてはいなかった。

葉山がその様子に気づく。

『日向の眼・・レオ姉を見てるんだけど見てない・・・何か違うものを見ようとしている・・まさか』

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実渕がフェイダウェイシュートの体勢を取る!【天】のシュートだ。
日向がシュートに反応し、シュートブロックに手を伸ばす。

しかしそれは実渕のフェイクだった。
シュートブロックに飛んだ状態から、実渕が【地】のシュートを放てば、日向はファウルとなってしまう。
そうなれば、5ファウルで退場だ。

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絶体絶命かに思われた。

しかし、日向は跳んでいなかった。
足はしっかりとコートについたままだ。
日向は実渕のフェイクを見破ったのだった。

『実渕・・お前の3種のシュートは跳ぶ直前までフォームに違いはほぼない。だが、重心の位置がわずかに違う』

日向は実渕3種のシュートの重心位置が違うことを見抜き、【天】に見せかけたフェイクが【地】の重心になっていることを見破っていた。

その様子を見ていた葉山は驚愕の表情を見せていた。

『言われた所で普通は見分けなんてつかない。けど、日向のバリアジャンパーも重心の置き方がキモになってる。そのせいで感覚が磨かれていた・・・!?』

相手にぶつかりながらシュートを撃つ【地】を避けながら、日向が実渕のシュートブロックに跳ぶ!
そしてついにボールに触れた!

ボールは弧を描きそのままゴールへと飛んでいくがわずかに届かない。
ついに実渕のシュートを止めたのだった。

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木吉鉄平

日向のシュートブロックにより、実渕のシュートは外れた。
リバウンド勝負にボールの行方は託された。

ゴール下で木吉と根武谷が激しくポジション争いを繰り広げる。
根武谷のスクリーンアウトに対して木吉がインサイドに入り込もうとする。
しかし根武谷のパワーの前にポジションをうまく取ることが出来ない。

木吉はケガがなければ今よりも確実に強い選手であったことは間違いない。
しかし、それはケガのブランクよりもケガを悪化させないための無意識のセーブが働いているからだった。

そのセーブを外せれば、確実に強くなる。
しかし、そのせいで足のケガが悪化する恐れはある。

しかし木吉はここで、この試合一番の馬力を見せる。
これには根武谷も驚きの顔を見せた。

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「あの・・・バカ・・・!」

『ごめんな・・・日向。けどオレにはやっぱり。仲間が必死にがんばる姿を見て、ケガとか先とか・・そんな正しいだけの判断できっこない』

必死のパワーでインサイドに入り込もうとする木吉だが、根武谷のパワーの前に、まだポジションをとることが出来なかった。

その様子を見ていた日向は考えていた。

『・・・ったく。そんなこったろーと思ったよ・・・。どれだけ言ってもどーせお前は無茶しちまう・・結局こうなるならもう止めねーよ。最後ぐれー思う存分ムチャしてこい!』

日向が渾身の力で木吉に向かって叫ぶ。

「木吉テメー何年センターやってんだ!んな筋肉バカに負けてんじゃねぇ!!」

その声を聞いた木吉は、根武谷をスピンでかわす。
一瞬のことに根武谷は反応出来ず、インサイドのポジションをとった木吉はリバウンドを制した。

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15点差

リバウンドを木吉が取ったのを見て、すぐさま火神がコートを走り抜ける!
目にも留まらぬ速攻で、2点を返す。

誠凛73-洛山88 残り9分33秒。

日向、木吉のプレイによって、ついに誠凛は15点差にまで迫った。

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