赤司キャプテン
主将の虹村は、コーチの真田に自分ではなく赤司を主将として欲しい、と願い出た。
しかし真田は、スタメンを外れたとしても主将を変えることは出来ない、帝光の主将の名は軽くない、と虹村の願いを退ける。
真田も赤司の主将としての資質は問題無いと感じているが、急いで赤司にゆずろうとする理由がわからずにいた。
虹村は少し考えてから真田に言った。
「父が去年の春から入院しています。これまではバスケを優先にしていましたが、父に何かあれば試合を放り出して病院に向かいます。今まで言いそびれてました」
真田は話を飲み込み、落ち着いた口調で虹村に言った。
「・・・・わかった。監督にも伝えておこう」
部屋を出ると、赤司と遭遇した。
赤司は、最後の方だけ話が聞こえた、と虹村に言った。
虹村は、少し気が早いが赤司に主将を任せると話す。
赤司はまだ決まっていないことだと反論するが、いまの話を聞いてまだ主将をやらせる気か、と虹村は突っぱねた。
その場を去りながら、虹村は赤司に言った。
「よろしく頼むぜ。赤司キャプテン」
「・・・・はい」
赤司は静かに返事をした。
認められた実力
黒子と黄瀬は二軍の試合に同行することとなった。
桃井も、マネージャーとして帯同する。
これまで桃井は黒子の試合を見たことが無く、実際にどんな選手かは知らない状態であった。
また、黄瀬も黒子の試合の様子は知らないため、いまだに黒子を見下していた。
そして試合当日。
黄瀬と桃井は驚嘆の表情で黒子のプレイを見ていた。
試合は当然、帝光の勝利で終わった。
試合翌日。
「青峰っち黒子っち!!帰りにアイスでも食ってかねーっスか?」
満面の笑みで二人と話す黄瀬がいた。
変わり身の早さに驚く青峰だったが、尊敬する人には敬意を払う、と黄瀬は楽しげに言った。
そして桃井も黒子の活躍に驚き、そのギャップに恋愛感情を抱くようになった。
赤司と緑間は廊下を歩きながら話をしていた。
「黒子と黄瀬の同伴は思った通りの結果となったな」
と緑間が赤司に言った。
これで全員が黒子の実力を認めるところなり、全ては赤司の思惑通りだった。
退部勧告
しかし・・・。
緑間は灰崎のことを懸念していた。
不真面目な態度が気に入らないが、実力はあるため、灰崎がスタメンとなり、黄瀬はその控えになるのではないか、というのが緑間の考えだった。
それに対して赤司は
「・・・いや、少し違うな。スタメンは黄瀬になる。そして虹村さんが控えにコンバートされる。そうなればSF(スモールフォワード)は最も層が厚いポジションとなる」
灰崎の素行の悪さには、赤司もよく思っていなかった。
これ以上は部にとってデメリットしかない、と赤司は考えていた。
赤司は冷たい表情で緑間に言った。
「もう用済みだ。退部を勧めよう」
その表情に寒気を覚える緑間。
時々見せる別人の様な目は、緑間には別の人格があるようにしか思えなかった。
じゃーな
灰崎の退部を聞き、驚く面々。黒子は灰崎の元へと走った。
焼却炉前で、自らのバッシュを捨てようとしている灰崎に、どうしてやめてしまうか?と黒子が問う。
灰崎は黒子に、大して仲良くもなかったのに止めに来たのか?と鼻でせせら笑った。
灰崎の本心を聞こうとする黒子。
しかし灰崎は黒子をバカにしたように
「ホントバカだなお前。実はオレが根がマジメだとでも思ってんのか?」
と、バッシュを焼却炉に投げ入れた。
そして燃えるバッシュを見ながら黒子に言った。
「本当に悪い奴や、恐えぇ奴だっているんだぜ。」
灰崎は、その場を去りながら最後に言い放った。