逆転
青峰は監督の言葉を受けて、復活を見せた。
4ファウルでありながら、試合に出場する。
そして、ついに黒子が決勝の舞台に立った。
黒子の投入でこれまでと全くリズムの変わる帝光に、鎌田西はついていくことが出来ず、帝光はついに逆転するのだった。
緑間は黒子に、調子が戻ったようだが、青峰と何かあったのか?と尋ねた。
「いいえ、けど、ウジウジ悩むのは後にします。まずはこの試合に勝って終わってから考えます」
と緑間に答えた。
鎌田西は黒子のリズムに全くついていくことが出来ずにいた。
「せめて1対1に持ち込めれば」
と青峰に対する選手が言った。
その言葉を聞いて青峰は
「・・へぇ、1対1・・ね。いいぜやってみな」
と自ら1対1に持ち込んだ。
二連覇
桃井は、試合開始からここまでにこの双子のことを調べていた。
そして、それが合気道によるものである、ということを結論付けていた。
それを聞いた監督の白金は、逆に1対1でいけ、と指示を出したのだった。
白金はその理由を選手に説明する。
あの二人がバスケを始めたのは中学からであり、バスケについては中級者である。
合気道が呼吸を合わせるものならば、バスケットはそれを外す競技だ。
だから、フェイクを最低3回以上入れ、入念にすりつぶせ。
「何より、やられっぱなしはシャクだろう?」
白金の言葉通り、複数のフェイクを入れ、1対1で圧倒する青峰。
「オレに勝てんのはオレだけだ」
と青峰は言い放った。
第3クォーターを終了し、帝光53-鎌田西39 と帝光がその力を見せた。
残すは第4クォーター。鎌田西はせめてエースである青峰を退場させることができれば精神的ダメージを与えられると踏んでいた。
しかし、白金はここで青峰を黄瀬に交代させ、最後の8分に全力を尽くす。
そして試合は帝光81-鎌田西51で幕を閉じた。
帝光は全中二連覇を達成したのだった。
せめて今だけでも
コートで喜ぶ選手を眺める青峰。
どうやって接すればいいかわからずにいたが、虹村が声をかけた。
「お前のおかげで優勝できたんだ。もっとよろこんでいいんだぞ。行けよ。せめて今だけでも素直になってもいいじゃねーか」
そして青峰は他の選手と喜びを分かち合った。
その後夏休みが明け、虹村ら三年は引退した。
悔いの無い表情で彼らは体育館に別れを告げた。
狂いだす歯車
監督の白金と、コーチの真田は、今後について話していた。
虹村達は引退してしまったが、現二年生がいれば三連覇も十分可能ではないか、と真田は白金に話した。
しかし白金は今後のチームに対して憂いを感じていた。
「どうかな、彼らの力は大き過ぎる。チームをまとめるにはむしろ私達がフォローをしていかねば・・」
それなら、監督がいるのだから大丈夫でしょう、と真田が言った直後のことだった。
白金は、椅子から落ち、そのまま倒れてしまうのだった。
ここまでは歯車の一つにヒビが入っても噛み合っていた帝光。
しかし、ここから歯車は狂っていくのだった。