青峰の想い
キャプテンの虹村とコーチの真田が黒子を降格させる話を耳にしてしまった青峰は、思わずその話に割って入った。
「ちょっ・・・ちょっと待ってくれよ!もう一試合だけあいつを見てやってくれよ!!」
赤司は昼食をとりながら、考えていた。
『テストの時は出来ていたのに、今回の試合はひどい出来だ。午後には使ってもらえない可能性もある』
その黒子は青峰が忘れた財布を届けるため、青峰の後を追っていた。
そこで青峰とコーチの話を聞いてしまう。
コーチは青峰に冷静に告げる。
「だめだ、これ以上見る価値は無い。彼は降格にする」
話を切り上げ、立ち去ろうとする真田コーチ。
しかし青峰は食い下がる。
「なら、オレも一緒にお願いします。次ももしだめだったらオレも一緒に降格する。だから、もう一度つかってやって下さい」
虹村も真田も、なぜそんなにまで黒子をかばうのかわからなかった。
青峰は、いつか黒子がオレ達を救ってくれる、そんな気がするからだ、と言うのだった。
午後の試合に黒子は出られるようになったが、だめだった場合は青峰も降格することになってしまった。
そして青峰の話を聞いていた黒子が現れる。
できるさ!
黒子は青峰に尋ねる。
「なぜあんなことを?」
青峰は黒子に答える。
「チャンスってのは誰にでもくる。けどそれをつかむのはやっぱ努力してる奴であるべきだと思う。」
しかし、自分の結果によって青峰まで降格させるわけにはいかない、と話す黒子に
「次の試合で結果残せばいいだけ。カンタンな話だぜ。チャンスは残ってる。テツにはつかむ力だってある。できるさ!」
と黒子と拳を合わせた。
挽回
午後の試合開始前、灰崎が虹村に連れられてやってくる。
ゲーセンでさぼっているところを見つけたという。
スターティングメンバーは黒子を除く5人となり、黒子の出番は後半からとなった。
体力不足からか前半終了時点で2点差しかつけることが出来ない帝光。
後半からは黒子が灰崎と交代し試合に出場する。
後半開始前に、赤司は黒子にアドバイスを出した。
二軍・三軍の動きに合わせたパススピードでは一軍のスピードに間に合わない。
もっと速く出すようにしなくては遅れてしまう。
そして、もう一つ。
黒子のカゲの薄さをコントロールさせるためのアドバイスだった。
「感情を極力表に出さないこと。闘志は必要だ。だがそれは秘めろ」
赤司の言葉を聞いて、落ち着きを取り戻す黒子。
そして、自らの存在を薄くするために、感情と闘志を秘めた。
一試合目とは全く違った動きを見せる黒子。
そのパスさばきに会場がざわめく。
そして、試合に出ているメンバーも黒子のプレイスタイルに驚愕していた。
伝説の幕開け
この日、誰かが言った。
それきりすぐに消えてしまったが、後に帝光を語る時必ずささやかれることになる奇妙な噂。
「帝光には幻の6人目がいる」
------と。